株式会社モア

菱木 友美Hishiki Tomomi 

1987年12月20日、千葉県生まれ。学業修了後はアパレル、事務職を経てエステに通った自身の体験を機に痩身エステに興味を持ちエステ業界に転身。2014年に『株式会社モア』を設立し『痩身デトックスサロン ベルチェ千葉店』を開業。現在は千葉県内に『痩身デトックスサロン ベルチェ千葉店』『痩身デトックスサロン ベルチェ市川本八幡店』の2店舗を運営している。

『痩身専門エステ』でお客様とスタッフと共に、女性の躍進と可能性を実現へ導く。

他業種からエステティシャンに転身、3年でスピード開業

事務職に就いていた20代当時、体型が変わったショックからエステに通い始めたところ、13kgという大幅な減量に成功。自信がつくことで気持ちまで明るくなり、周囲にも影響を与えるほど毎日が楽しく変化していくことを実感、まるで人生を変えるような体験を実現できるエステの魅力に惹かれ、他業種から大手エステサロンに転身入社。その後、約1年でチーフを経て店長に就任し、たしかな腕とビジネスセンスを発揮した。当初こそ独立心はなかったが、現在本店のある物件の空きを見た際に、自身の力でチャレンジしてみたい、という意欲が高まり、入社から3年後、2名のスタッフと共に『痩身デトックスサロン ベルチェ市川本八幡店』を開業した。
「客としてエステに通い気付いたことですが、女性は年配になっても”綺麗になりたい”という欲求をずっと追い続けています。その姿勢こそが美しいと感じて、女性が生涯輝き続けられるサポートができるエステティシャンという仕事にやり甲斐と無限の可能性を感じて、独立を決意しました」

失敗例もオープンに共有しリスク回避

『痩身専門エステサロン』という独特のビジネスモデルのため相談できる人は少なく、2店舗目を出店したものの経営について多くの課題を抱えていたある日、偶然入店したヘアサロンの美容師から、サロン運営の悩みを相談できる場があると教えてもらったことがきっかけで、SPCに入会した。
「経営者交流の場に行き始めてから、経営者としての器量は一人では計ることができないことを学びましたね。何より成功例だけでなく失敗例も共有でき、“こうならないようにしよう”という反面教師の視点からリスクを回避できる点がとても興味深かったです」
また、先輩経営者が役員選挙に立候補する際には、社長職とは異なる別の高みを目指すため、より訴求力のある言葉選びや情熱的に挑む姿勢を直接学ぶ機会があり、経営学だけでなく上に立つ者の“器”を養える貴重な場でもあると話した。

あらゆる業態の経営者と交流できる場所

その後、正会員となった菱木代表は、現在千葉県のビューティーリーダーを務め、月に1度求人や集客などに関する近況報告や悩み・課題を共有する会議を行っている。エステ同業者は少ないものの、他業態の経営者から得られる気づきも多いという。
「いろんな業態の方がいらっしゃるので、入りやすかったですね。財務管理やスタッフとの関係性など、業態に関わらず参考にさせていただいています。経営者は現場に出ない方が良いというアドバイスをよく受けるのですが、ビューティーは現場で学びながらスタッフと一緒に成長していく部分が大きいので、今は学びながら経営者としての器を作りあげている段階です」

さらに、経営者交流は、経営者としてのモチベーションを常に高められる場所だと話す。
「様々な事情で会議に出席することを先送りにしていると、たちまち視野が狭くなり成長が止まるんです。経営者同士の意見に触れることで新しい考え方やパワーをもらえるので、“あれもこれもやらないと”から“絶対にやろう”という意欲が向上するんです。私にとって、まだ知らない気づきを得られ、背中を強く押していただける大切な場所です」
孤独になりがちな経営の道だが、常に新たな刺激を得られる環境があることが大きな支えとなっている。

『痩身専門エステ』を起業したことがターニングポイント

自身の減量体験をきっかけにエステティシャンに転身、トータルビューティーサロンが主流だった時代にひとつの分野に特化した『痩身デトックスサロン ベルチェ』を開業したことで菱木代表の人生は大きなターニングポイントを迎えた。
単に施術をするだけではなく、客の悩みに寄り添い内面から体質改善することで気持ちも人生も明るく変えていけるビジネスに大きな可能性を感じたという。
「なんでもやります、という考え方では方向性が分散してしまいます。やはり100%を1本でやり通した方が真剣に悩まれている方を集客できると考え、当時まだ少なかった『痩身専門エステサロン』という業態に挑戦したんです。私自身がそうであったように、エステは気持ちも人生も明るい方向へ導くことができるきっかけづくりだと考えています。そのためのサポートをスタッフ一丸となって行ってくことをモットーに、日々真摯に“美”と向き合っています」

一人ひとりの客と親身に向き合い、女性の美を引き出すことにプロ意識を持って真剣に取り組むサロンだからこそ、目に見える結果を出し続け、安定したリピート率を獲得。体型のコンプレックスを解消できたときの喜びが客自身を変え、それが周りにも影響することで、さらに客を呼んでもらえるという好循環を実現している。

結果を出す独自の痩身デトックス施術

『痩身デトックスサロン ベルチェ』では、東洋医学を取り入れた体や内臓を温めながらの揉み出しや血流を促す独自の施術を行なっている。ただ痩せるだけでなく、体の内面から綺麗になれる根本改善に取り組み、アフターケアにも力を入れている。
「機械や手術などに頼ってただ痩せるのではなく、根本から体質改善する知識を身につけることによって、サロンに通うことをやめた後も日々の食事などで健康状態を維持することができます。知識さえあれば、お客様自身だけではなくご家族や周囲にも活かすことができるんです。健康という観点から幸せになるお手伝いがしたいという考えから、トータルビューティーではなく痩身専門サロンとして真剣にお客様と向き合っています。最初にカウンセリングしたお客様の服装が変化していったり、お化粧やマツエクをするようになったり、ヘアスタイルもこまめにメンテナンスして綺麗になられていく姿を見るのは何にも代えがたい喜びです」

強い信念と志を持って痩身ビジネスに取り組む菱木代表。現代における女性のさらなる躍進や可能性を切り拓くべく、客だけでなくスタッフ一人ひとりが活躍し結婚出産後も永く輝き続けられるような会社を目指している。

お客様とスタッフと共に女性の可能性を実現していく

菱木代表が大切にしていることのひとつが「サロンに関わる皆様に充実していただけること」。客やスタッフ、その家族まで食事など健康面のケアに気を配り、永い気持ちで寄り添えたら、という想いで共に歩み励んでいる。
誠実な信頼関係と責任感で客の自己実現やスタッフの将来を導く菱木代表のリーダーシップは、やがてエステ業界の次世代を担うことだろう。

INTERVIEW DATA

会社名
株式会社モア
代表
菱木 友美
創業
2014年1月6日
店舗数
2店舗
スタッフ数
8名
本社所在地
〒260-0028  千葉県千葉市中央区新町15-2 大友ビル401
取材店舗名
痩身デトックスサロン ベルチェ千葉店
店舗所在地
〒260-0028  千葉県千葉市中央区新町15-2 大友ビル401
URL
https://beauty.hotpepper.jp/

株式会社アイス

山口 敏之Toshiyuki Yamaguchi

1964年5月29日、茨城県生まれ。美容専門学校を卒業後、水戸のヘアサロンに就職。19歳で上京し1994年当時勤務していたサロンを買い取り独立。2000年7月に『株式会社アイス』を設立、本社所在地でもある赤羽を拠点とし、2005年に開業した『wisp』を皮切りに現在都内にて『VAN COUNCIL』『beep』『BARBER-BAR』『Furisode Flower』の4ブランドを運営している。

既存の概念にとらわれない発想から生まれた『美容とアートのコラボレーション』その未来を牽引するクリエイティビティに迫る。

予想外の機会に恵まれ、サロン経営者に

美容専門学校を卒業後、地元のヘアサロンに就職。その後19歳で上京。様々な場所で経験を積むなか、当時勤務していたサロン店長の紹介のもと赤羽のサロンへ転職。以降自身の拠点を赤羽とし、1994年に同サロンを買い取り独立、2000年に㈱アイスを設立し、2005年に『wisp赤羽』を開業した。
「もともとファッションや音楽などクリエイティブな分野への強い興味とこだわりがありましたので、“自分なりのヘアスタイルを表現したい”という想いから美容業界へ足を踏み入れました。当時は“経営者”になることは考えていなかったですね」
その後、赤羽にて5店舗を運営、1店舗あたり約500万円ほどの売上を立てるなど、秘められていた経営者としての手腕を発揮していく。

『組織をもっとメジャーにしたい』50歳からの使命とビジョン

美容師として活躍し始めた18歳頃からSPC会員サロンに勤務、オーナーや先輩経営者の好意で大手理容グループの研修に参加させてもらうなど、SPCとは長く関わりを持っていたという山口代表だが、意外にも入会したのは50歳を過ぎてからだという。
「40歳頃に、同業の友人から横山創設理事の勉強会に誘われたことがきっかけで室長と知り合いました。鋭い洞察力と哲学的思考で物事を見抜くセンスを持っていて、ひとりの人間としても惹かれるところがあったので、それから十数年、組織というより室長に師事していましたね。50歳頃に初めて入会のお誘いをいただいたので、室長が設立したSPCで恩返しをしたいという想いから現在に至ります」
業界の未来に向け、自ら道を切り拓いてきた“経営者”として持ちうる使命と役割とは何か。組織の固定されたイメージの一新を図るべく、ビジュアルデザインに力を入れながら若者への訴求力を高めるなど、経営学だけでなく「センスも磨ける団体」を目指している。“組織をもっとメジャーにしたい”“経営者仲間とさらに新しい価値を創造したい”そんなビジョンを持ちながら現在も活動を続ける。

業界特有の苦労や体験を共有し合える貴重な場所

㈱アイスでは『BARBER-BAR赤羽』『VAN COUNCIL王子/川口』のSPCブランドを運営。そのメリットは情報力と、1人ではできないことをみんなで実現できる体験の“共有”にあるという。
「『BARBER-BAR』はメンズサロンを手掛けたいと構想していたスタッフと趣旨が合致したことで始めました。1人でイチから出店するより、協力し合って創り上げていく体験が今後のスタッフにとって大きな糧になると思っています。『VAN COUNCIL』を2店舗展開しているのは協力し合いながら同時に競うかたちにした方がより成長と成果を得られるとの考えからです」
豊富な前例と情報をもとに、新しい挑戦体験も共有できる組織の環境にデメリットは見当たらないと話した。
また、入会して感じたことといえば“仲間のあたたかみ”だ。全国の同業経営者たちと仕事を通じて交流を図れることは何よりの励みになる。
「プライベートな友人の他に、業種特有の悩みや苦労を理解し共有してくれる仲間がいることは大変貴重に思います。私たちの根底には“一人の仲間を労(いたわ)ることをすべてとして”という理念があるのですが、先輩経営者からはよく声をかけていただき多大なお気遣いをいただいています。こうして現在トップの経営者たちが“人間力”や“仲間力”を後輩とともに育み循環することで、次の世代にも脈々と受け継がれていくと考えています」
互いを気にかけ合いながらときには酒席で想いを酌み交わすなど、数字を追うだけでは足りない自己研鑽を積める貴重な場がここにはあるのだ。

挑戦の末『利益の追求』から『スタッフファースト』へ転換したことがターニングポイント

30歳当時、北海道の有名サロンが設備など一部スペースを貸し出す美容師への業務委託が可能なサロンを銀座にオープン。そのノウハウを知人から教わったことがきっかけとなり、いわゆる“面貸し”の契約形態を自店に取り入れたことで爆発的に集客がアップ。これまでの“教育型”から“集客型”へとサロンの方針転換を図ったことで会社は軌道に乗り始めた。
無駄のない効率的な時間活用とフリーランスに慣れた能力のある美容師が活躍することで、初月から新規客約300人を獲得し、カットカラー4,720円という低単価でありながら約600万円を売り上げた。
その後、王子に2店舗、大宮、池袋、高田馬場、新宿と立て続けに出店。しかし順調ながらも自身の展望とのズレを感じ、利益を追うよりも思い入れのあるスタッフとともに成長していきたいとの想いから、さらに方針の立て直しを図った。
「やはりお金じゃないと実感しました。面貸し自体は継続していますが、せっかくなら自分のもとで育ったスタッフへ還元したいですね。この選択が今思うと大きなターニングポイントになったと思います」

振袖・袴レンタルの『Furisode Flower』をオープン!

『beep』は現在息子である大夢さんが運営。今後の動向は任せ、ゆくゆくは多店舗展開を構想している。そんななか、山口代表は新しい挑戦として振袖・袴レンタルの『Furisode Flower』を出店した。
「これまでも着付けメニューを展開していたことと、自分が日本舞踊をたしなんでいて着物に触れる機会が多いこと、そして家内が好きなこともあり、老後のチャレンジとして『Furisode Flower』を始めました。出店にあたり、関西ではレンタル事業をされている会員さんも多く心強いというのもありましたね。何より、ステップアップすることで新しい自分に出会えることが人生の喜びだと経験上感じてきましたので、息子にその姿を見せておきたいという想いがあります」
夫婦で互いに地方から上京、時流を掴んで常に一歩先へリードし続け、今では洗練されたサロンクオリティを提供、発信し続ける㈱アイス。何も知らないところから会社は創れる、誰でもチャレンジすれば形にできる、忙しい日々でも好きな仕事に出会えたから苦ではなかったという山口代表。これから美容業界を志す若者や現在ともに闘う同志へ、挑戦し続けることの価値を自社を通して伝えることができればと語った。

 

『ヘアサロン』と『アート』の可能性

運営する店舗に共通して感じるのは、山口代表の特徴でもある“クリエイティビティ”だ。『VAN COUNCIL』では内外装にアート作品を取り入れるなど、独創的な試みが伺える。
「既存の概念にとらわれない独自性を演出していきたいと常に考えています。経営学や人間力も大切ですが、“あのサロンで働いている美容師さんみんなかっこいい”と憧れられるような洗練されたセンスが加われば、裾野はもっと広がると思います」
山口代表をはじめ、スタッフのファッションセンスにも定評がある背景には、美容師を志した16歳当初から、自身が常にかっこよく在ること、好きな職業で自由に表現することという変わらない本質がある。その姿は今もなお、スタッフに影響を与え続けている。組織やヘアサロンに『アート』というアプローチを用い、ビジュアルデザインの見地から牽引する㈱アイスの未来にますます期待が膨らむばかりだ。

INTERVIEW DATA

会社名
株式会社アイス
代表
山口 敏之
創業
2000年7月1日
店舗数
7店舗
スタッフ数
40名
本社所在地
東京都北区赤羽西1-38-18 アドレシア206
取材店舗名
VAN COUNCIL 王子
VAN COUNCIL 川口
店舗所在地
東京都北区王子3-13-13
URL
https://iceiceice.jp

株式会社FAITHFULL

森田 徹二Tetsuji Morita

1973年8月1日、埼玉県生まれ。大学の経営学部卒業後、大手美容室チェーン店を運営する会社に就職。1年目にマネージャー、2年目にエリアマネージャー、4年目に本部の人事担当を経た後、2001年9月に暖簾分けというかたちで独立開業し、2003年7月『株式会社FAITHFULL』を設立。現在は埼玉県内に地域密着ファミリーカジュアルサロン『Hair Studio Leaves』を5店舗運営している。

目的意識を集約し『組織化』を図る。教育のアウトソーシング化で変わる未来のサロン像。

“1人で16店舗を担当”美容室チェーンのマネージャーから経営者へ

大学の経営学部卒業後、大手美容グループに就職。チェーンストア理論を学びながら現場でイチから経験を積み通信教育にて美容師免許を取得。1年目にマネージャー、2年目にエリアマネージャー、4年目に本部の人事担当を経た後、2001年に暖簾分けというかたちで『Hair Studio Leaves』を開業し、『株式会社FAITHFULL』を設立した。「最終的には約16店舗を担当していたので本当に忙しかったです。短期間に凝縮したような経験をしていくなかで、理想のサロンをつくりたいという想いが募り、当時の経営形態や屋号を一新し、本店を買い取るかたちで独立しました」その後、2店舗目『Leaves東川口店』を出店、順調に見えたが、3店舗目『Leaves与野店』をオープンした頃に状況が変わった。

思いがけず集客に大苦戦。繁盛店の見学ツアーは衝撃の連続だった

SPC出身者である前職の社長が、暖簾分けをしたオーナーたちのために定期的に経営についての勉強会を開催してくれたこともあり、2店舗で8000万円の売上を立てるほどサロンは順調だった。しかしその4年後に『Leaves与野店』をオープンするも集客に苦戦。「3店舗の総合計としては1億円の売上は達成していました。しかし、前2店舗とほぼ同じ条件にも関わらず与野店だけ売上が伸びず、その理由がどこにあるかを考えました」
ただ掲げるだけの“経営理念”になっていないか、スタッフの意識は高いか、店舗間の連携はとれているか…全体を見渡したとき、次のビジョンが見えず立ち止まった。そんな折、DMで『SPC会員ヘアサロン繁盛店見学バスツアー』なる案内を見つけ、企画への興味が湧き参加。見学した繁盛店は23坪で700万円もの売上を立てるなど、これまでの概念を打ち砕くものだった。その後、同店の代表が自店に来店し、アドバイスをもらうことに。
「本部機能と現場を分けた方がいいと具体的な話を伺いました。その後にこうも言われたんです。“バックボーンが何もない状態で1億円を売り上げる事例はなかなか見ない、SPCにはあなたの力が必要です”と」そうして2012年3月に入会、学びを得るほど自社に足りない部分を感じ、ほどなくして正会員となった。

わずか1年でデビューが可能!実践的な早期育成プログラムを構築

学んだことのなかでもっとも成果をあげたのは、“教育”だ。
それまではチェーン理論に基づき、生産性と利益を重視した教育方針をとっていたが、数字を追うより以前に“人間を育てる”という部分に価値基準を置くように。
「これまでの自分のやり方が利益を追求する“算盤(ソロバン)”なら、SPCで学んだことは“論語”いわゆる道徳です。人を育てることで教える側も成長し、信頼関係が生まれます。利益よりもまず人を育てないと会社全体が成長しないんです。まさに『論語と算盤』※1ですね」2016年から新卒採用をはじめ、新人教育に造詣が深い先輩経営者とともに埼玉本部として早期育成プラグラム『PORICA』※2を構築。教育を外部で行うことで実践的なスキルのスピード習得を可能にし、店内の人間関係のトラブルが激減したことでスタッフの定着率は安定、サロン全体のクオリティアップと高水準の生産性を実現している。
※1 渋沢栄一『論語と算盤』 ※2『PORICA』詳細は後述

6班制を導入して各店舗を『組織化』したことがターニングポイント

先輩経営者のアドバイスを受け、2014年当時の『Leaves東浦和店』1階に事務所を設立。現場と本部機能を完全に切り離したことで、会社全体の流れが変わり始めた。
まずは各店店長とチーフにそれぞれ「広報」「接客」「教育」「材料」「リペア(ケアメニューの推進)」「リクルート」の部長という役割を与える“6班制”を採用し、事務所にて“班会議”を行う。そうすることで関係性が円滑になり、情報共有や集合教育において店舗間の連携がスムーズにとれるように。また、社長が一方的に指示するトップダウンではなく、会議には店長や幹部が参加。現場の意見を吸い上げながらサロンの方向性やルールなどを話し合い、風通しの良い意見交換が可能になった。
“なぜこう決まったのか”という過程をスタッフと共有することで不信感を無くし、“会社”という捉え難い場所をひとつの組織にまとめ上げていくのだ。
本来店舗単位で発生する物事を班会議で共有し、会社全体の目的意識として集約することで一体感を生み、組織化を実現したことが成功への大きな分岐点となった。

外部講習による早期育成プログラム『PORICA』で生産性アップ

『Hair Studio Leaves』では、早期育成プログラム『PORICA』を活用した『アシスタント育成コース』に取り組んでおり、教育のアウトソーシング化を図っている。
『PORICA』は、ウィッグにパネルに見立てた板やペーパー、ニットパネルなどを装着し、カットを含むすべての技術が練習できるトレーニングツール。既存の使用済みウィッグに装着でき、反復練習もできる。『PORICA』を利用することで、早ければ半年でデビューを叶えられる実践的なトレーニング手法だ。
外部で行う講習のため、自社の負担が減り先輩後輩間のトラブルも激減、新卒の離職率の低下にもつながり、教える側によるバラつきのない普遍的な教育と客観的評価が可能。さらに、運動科学に基づき“形のつくり方”を学ぶため、サロンワークでの提案に最短で応用できる基礎が習得できるのが最大の特徴だ。
信憑性の高い教育システムとして毎年高レベルの新人を輩出し続けている『PORICA』トレーニングの活用で、1年目の新人を早期戦力化できれば、美容師としての自立も早くなりサロンの生産力は格段にアップする。
『Hair Studio Leaves』は人間性と技術の両面から永く活躍できる人材を育んでいる。

 

『適正プライス&ハイクオリティー』経営者だった父から学んだ姿勢

自身の父親もまた建設会社の経営者である森田代表。質の高いサービスの提供を重んじる姿勢は、多分に影響を受けたと語る。
「自店はいわゆる“プチプラサロン”ですが、“安かろう悪かろう”ではやはり集客に限界があります。お客様のことをいちばんに考えるなら、僕は“価格は安いけれど、品質やデザインにこだわった高級店と変わらないサービスの提供”を目指して日々務めています」“スタッフの夢を叶えられる会社でありたい”という『Hair Studio Leaves』は、なくてはならないサロンとして地域に愛されながらスタッフとともに成長を続けている。

INTERVIEW DATA

会社名
株式会社FAITHFULL
代表
森田 徹二
創業
2001年9月
店舗数
5店舗
スタッフ数
32名
本社所在地
埼玉県さいたま市緑区東浦和2-44-2-3F
取材店舗名
Hair Studio Leaves東浦和店
店舗所在地
埼玉県さいたま市緑区東浦和2-44-2
URL
https://www.hs-leaves.co.jp

株式会社 横濱BARBER

豊島 昭王Akio Toyoshima

1972年9月6日、神奈川県生まれ。窪田理容美容専門学校卒業後、都立大学駅にある理容室に就職。その後、1894(明治27)年の創業から100年以上の歴史を持つ老舗『成田理髪店』に再就職。同社の倒産を機にスカイビル店舗とその歴史を継承し、2012年10月『株式会社 横濱BARBER』を設立、独立開業を果たす。現在は横浜に『理容室NARITA』『NARITA+PLUS』の2店舗を運営している。

明治から続く『老舗床屋』を継承し再建。独自ブランディングで幅広い年齢層に愛される床屋の真髄に触れる。

勤め先の倒産を機に、明治から代々続く『老舗床屋』を継承。

専門学校卒業後、都立大学駅にある理容室で4年間の修行に励んだ後、24歳で明治27年の創業から100年以上の歴史を持つ『成田理髪店』に再就職。かつては横浜駅舎にあったという老舗床屋に10年以上勤めるも、同社が倒産することとなり、自身でスカイビル店舗とその歴史を引き継ぐことを決意。
「もとはスタッフでしたが、100年続く歴史を残したいという想いから『理容室NARITA』として独立開業し、引き継がせていただきました」
急遽1ヶ月で『株式会社 横濱BARBER』を立ち上げ、ビルと交渉し、店舗を引き継いだ。そして解雇となったスタッフを再雇用し、存続の危ぶまれた老舗床屋の息を吹き返すべく、こうして豊島代表の挑戦は唐突に幕を開けた。

ノウハウは『トライ・アンド・エラー』でどんどん自店に取り入れる

技術者から経営者へ転身を遂げた当初、手探りながら懸命に目の前の仕事に取り組むものの、“社長としての立ち居振る舞い”とはどうあるべきなのかを試行錯誤していた。そんなある日、理容組合のパンフレットに入っていたチラシが目にまる。
「“とにかく前進しなければ”と思い、経営学の必要性を強く感じていたので、SPCのチラシに掲載されていた“理容室経営”のセミナーイベントにすぐ申し込みました。8月のイベントに参加して1月にはもう正会員になっていましたね」
入会してからは、神奈川本部の会議に参加。先輩経営者たちの経験談を聞く“1分間スピーチ”で経営者としての在り方や姿勢を学び、情報やノウハウはあますことなく吸収。自店に落とし込んでは実践を重ねた。
「SPCはサロンの数だけ情報がありますよね。成功しているノウハウは“トライ・アンド・エラー”でどんどんトライして自店に合うようにうまく取り入れていくんです」
いかなる情報も吸収したあとが肝心だ。豊島代表は持ち前の行動力をいかんなく発揮、右肩上がりに業績を上げ続け、その後2店舗で1億円の売上を達成。危機に瀕した理容室を軌道に載せた。

吸収した『学び』を独自スタイルにアップデート

経営者交流は事例の宝庫、それをどう活用するかがもっとも重要だと話す。
「たとえば、理容室ではこれまで店販を重視してこなかったのですが、“福袋”キャンペーンのノウハウを教わってからは、毎年約400万円ほど店販売上を立てることができています」
月にムース1本売れれば良い方だという“理容室の常識”を塗り替え、美容室のような“福袋”セールスプロモーションを採用。また、先輩経営者から自社ホームページの重要性についてアドバイスを受け、オリジナリティ溢れるイメージ戦略を実践。トップページを飾るコミカルなイラストが親しみやすさを与え若い客層を獲得、集客は何倍にも増えたという。
「経営者交流には様々な“学び”がありますが、そのまま真似する必要はないんです。良いところだけを取り入れ自分のこだわりは最大限活かしながら、オリジナルに進化させていく。組織に対しても俯瞰的な視点で物事を見る。そういった自由な立ち位置を大事にしています」
先輩経営者から吸収したノウハウを自分なりに落とし込み、フレキシブルな発想で独自スタイルにアップデートしていく。歴史を重んじながらも進化を続ける『理容室NARITA』の真髄がここにある。

横浜で100年続く『成田理髪店』を引き継いだことがターニングポイント

明治から続く『成田理髪店』の窮地を救い、店を引き継いだことで技術者から経営者へ転身。豊島代表と老舗床屋の未来は大きく変わった。
これまでの顧客を混乱させないため屋号はあえて変えず『ナリタ』のまま継承、店を立て直すため奔走することとなる。
「まずは“経営理念”を設定し、スタッフが判断に迷ってもひとつの指針に立ち帰ることができるポイントをつくりました。目的意識を共有することで、スタッフの一体感はより強くなりましたね」
経営者になってからは、自身は経営に専念。店は店長が回すよう促し、極力口を出さないように務めた。現場の自主性に任せた結果、スタッフの意識が向上し店全体で良い流れをつくれるように。他に、メニューと客単価の見直し、新しいサービスの開発やブランディングなど次々と改革を推進。そして『理容室NARITA』は見事に息を吹き返した。
起業後に入会したSPCでの具体的な助言やアドバイスがなければ今の自分はいなかったという豊島代表。現在は自身が“店舗拡大に関するセミナー”の講師を勤めるなど活躍の場を広げ、アウトプットも自身を振り返る“学び”であると語った。

人気ブランドとコラボ!独自ブランディングで若者の集客アップ

『理容室NARITA』のブランディングは、豊島代表ならではのオリジナリティが光る。ホームページやポスターにはプロのイラストレーターに発注した遊び心のあるコミカルなイラストを掲載。気取らない親しみやすさが好評となり集客がアップ。また、ポップアップストアで見かけて一目惚れしたという人気ブランド『河合シャツ』とのコラボにより店の制服やクロスを共同開発し、新たなイメージへ一新。店舗でも『河合シャツ』の商品を取り扱っている。
こうした独自の取り組みが功を奏し、ネット上にある数々の『おしゃれ理容室ランキング』では『NARITA+PLUS』も含め常にランクイン。床屋でありながら、20代〜30代といった若年層の支持も集めている。
また、幅広い年齢層の誰もが“安心して通える場所”を提供するため、“素早い対応、礼儀正しい対応、きちんとした言葉遣い、自分は特別と感じられる対応”をモットーとしている。
「過不足なくお客様の“当たり前”にお応えすることを心がけています。“誰が担当しても、いつご来店されても、変わらない仕上がり”を目指し、髪を切りたいと思って出かけた人の足が自然と『理容室NARITA』へ向くような“生活の一部”になりたいですね」

 

店を回すのはスタッフの仕事。スタッフを守るのは僕の仕事。

今日も問題なく店が回るのは現場スタッフの力があってこそ。現時点での『理容室NARITA』の目標は“スタッフが安心して働ける環境をつくる”ことだ。
「お客様をリピートさせることはスタッフの仕事、スタッフの気持ちを裏切らないのが僕の仕事なんです。ひとりひとりに寄り添いながら後ろからそっと押し上げてあげられるようなあたたかい経営方針で、小さくても足腰の強い会社を目指しています」
老舗の看板を守りながら、独自のスタイルで成長を続ける『理容室NARITA』は、今や幅広い年齢層に愛される唯一無二の理容室へと進化を遂げた。

INTERVIEW DATA

会社名
株式会社 横濱BARBER
代表
豊島 昭王
創業
2012年10月
店舗数
2店舗
スタッフ数
16名
本社所在地
神奈川県綾瀬市早川1601
取材店舗名
スカイビル 理容室NARITA
店舗所在地
横浜市西区高島2-19-12-9F
URL
http://www.yokohamabarber.com