株式会社FAITHFULL

森田 徹二Tetsuji Morita

1973年8月1日、埼玉県生まれ。大学の経営学部卒業後、大手美容室チェーン店を運営する会社に就職。1年目にマネージャー、2年目にエリアマネージャー、4年目に本部の人事担当を経た後、2001年9月に暖簾分けというかたちで独立開業し、2003年7月『株式会社FAITHFULL』を設立。現在は埼玉県内に地域密着ファミリーカジュアルサロン『Hair Studio Leaves』を5店舗運営している。

目的意識を集約し『組織化』を図る。教育のアウトソーシング化で変わる未来のサロン像。

“1人で16店舗を担当”美容室チェーンのマネージャーから経営者へ

大学の経営学部卒業後、大手美容グループに就職。チェーンストア理論を学びながら現場でイチから経験を積み通信教育にて美容師免許を取得。1年目にマネージャー、2年目にエリアマネージャー、4年目に本部の人事担当を経た後、2001年に暖簾分けというかたちで『Hair Studio Leaves』を開業し、『株式会社FAITHFULL』を設立した。「最終的には約16店舗を担当していたので本当に忙しかったです。短期間に凝縮したような経験をしていくなかで、理想のサロンをつくりたいという想いが募り、当時の経営形態や屋号を一新し、本店を買い取るかたちで独立しました」その後、2店舗目『Leaves東川口店』を出店、順調に見えたが、3店舗目『Leaves与野店』をオープンした頃に状況が変わった。

思いがけず集客に大苦戦。繁盛店の見学ツアーは衝撃の連続だった

SPC出身者である前職の社長が、暖簾分けをしたオーナーたちのために定期的に経営についての勉強会を開催してくれたこともあり、2店舗で8000万円の売上を立てるほどサロンは順調だった。しかしその4年後に『Leaves与野店』をオープンするも集客に苦戦。「3店舗の総合計としては1億円の売上は達成していました。しかし、前2店舗とほぼ同じ条件にも関わらず与野店だけ売上が伸びず、その理由がどこにあるかを考えました」
ただ掲げるだけの“経営理念”になっていないか、スタッフの意識は高いか、店舗間の連携はとれているか…全体を見渡したとき、次のビジョンが見えず立ち止まった。そんな折、DMで『SPC会員ヘアサロン繁盛店見学バスツアー』なる案内を見つけ、企画への興味が湧き参加。見学した繁盛店は23坪で700万円もの売上を立てるなど、これまでの概念を打ち砕くものだった。その後、同店の代表が自店に来店し、アドバイスをもらうことに。
「本部機能と現場を分けた方がいいと具体的な話を伺いました。その後にこうも言われたんです。“バックボーンが何もない状態で1億円を売り上げる事例はなかなか見ない、SPCにはあなたの力が必要です”と」そうして2012年3月に入会、学びを得るほど自社に足りない部分を感じ、ほどなくして正会員となった。

わずか1年でデビューが可能!実践的な早期育成プログラムを構築

学んだことのなかでもっとも成果をあげたのは、“教育”だ。
それまではチェーン理論に基づき、生産性と利益を重視した教育方針をとっていたが、数字を追うより以前に“人間を育てる”という部分に価値基準を置くように。
「これまでの自分のやり方が利益を追求する“算盤(ソロバン)”なら、SPCで学んだことは“論語”いわゆる道徳です。人を育てることで教える側も成長し、信頼関係が生まれます。利益よりもまず人を育てないと会社全体が成長しないんです。まさに『論語と算盤』※1ですね」2016年から新卒採用をはじめ、新人教育に造詣が深い先輩経営者とともに埼玉本部として早期育成プラグラム『PORICA』※2を構築。教育を外部で行うことで実践的なスキルのスピード習得を可能にし、店内の人間関係のトラブルが激減したことでスタッフの定着率は安定、サロン全体のクオリティアップと高水準の生産性を実現している。
※1 渋沢栄一『論語と算盤』 ※2『PORICA』詳細は後述

6班制を導入して各店舗を『組織化』したことがターニングポイント

先輩経営者のアドバイスを受け、2014年当時の『Leaves東浦和店』1階に事務所を設立。現場と本部機能を完全に切り離したことで、会社全体の流れが変わり始めた。
まずは各店店長とチーフにそれぞれ「広報」「接客」「教育」「材料」「リペア(ケアメニューの推進)」「リクルート」の部長という役割を与える“6班制”を採用し、事務所にて“班会議”を行う。そうすることで関係性が円滑になり、情報共有や集合教育において店舗間の連携がスムーズにとれるように。また、社長が一方的に指示するトップダウンではなく、会議には店長や幹部が参加。現場の意見を吸い上げながらサロンの方向性やルールなどを話し合い、風通しの良い意見交換が可能になった。
“なぜこう決まったのか”という過程をスタッフと共有することで不信感を無くし、“会社”という捉え難い場所をひとつの組織にまとめ上げていくのだ。
本来店舗単位で発生する物事を班会議で共有し、会社全体の目的意識として集約することで一体感を生み、組織化を実現したことが成功への大きな分岐点となった。

外部講習による早期育成プログラム『PORICA』で生産性アップ

『Hair Studio Leaves』では、早期育成プログラム『PORICA』を活用した『アシスタント育成コース』に取り組んでおり、教育のアウトソーシング化を図っている。
『PORICA』は、ウィッグにパネルに見立てた板やペーパー、ニットパネルなどを装着し、カットを含むすべての技術が練習できるトレーニングツール。既存の使用済みウィッグに装着でき、反復練習もできる。『PORICA』を利用することで、早ければ半年でデビューを叶えられる実践的なトレーニング手法だ。
外部で行う講習のため、自社の負担が減り先輩後輩間のトラブルも激減、新卒の離職率の低下にもつながり、教える側によるバラつきのない普遍的な教育と客観的評価が可能。さらに、運動科学に基づき“形のつくり方”を学ぶため、サロンワークでの提案に最短で応用できる基礎が習得できるのが最大の特徴だ。
信憑性の高い教育システムとして毎年高レベルの新人を輩出し続けている『PORICA』トレーニングの活用で、1年目の新人を早期戦力化できれば、美容師としての自立も早くなりサロンの生産力は格段にアップする。
『Hair Studio Leaves』は人間性と技術の両面から永く活躍できる人材を育んでいる。

 

『適正プライス&ハイクオリティー』経営者だった父から学んだ姿勢

自身の父親もまた建設会社の経営者である森田代表。質の高いサービスの提供を重んじる姿勢は、多分に影響を受けたと語る。
「自店はいわゆる“プチプラサロン”ですが、“安かろう悪かろう”ではやはり集客に限界があります。お客様のことをいちばんに考えるなら、僕は“価格は安いけれど、品質やデザインにこだわった高級店と変わらないサービスの提供”を目指して日々務めています」“スタッフの夢を叶えられる会社でありたい”という『Hair Studio Leaves』は、なくてはならないサロンとして地域に愛されながらスタッフとともに成長を続けている。

INTERVIEW DATA

会社名
株式会社FAITHFULL
代表
森田 徹二
創業
2001年9月
店舗数
5店舗
スタッフ数
32名
本社所在地
埼玉県さいたま市緑区東浦和2-44-2-3F
取材店舗名
Hair Studio Leaves東浦和店
店舗所在地
埼玉県さいたま市緑区東浦和2-44-2
URL
https://www.hs-leaves.co.jp