A-sam Group

長島 正男Masao Nagashima

1962年1月2日、埼玉県生まれ。理容専門学校を卒業後、1987年に理容店『ヘアーズビギン』を開業し独立。1992年にはサロンを増築移転し、2001年に『A-sam Group(エイサムグループ)』を設立。現在は、髪質改善やカラー専門、まつエク専門などそれぞれ異なるコンセプトと専門性を設けたサロンを埼玉県内に7店舗運営している。

7店舗すべてに異なる専門性を設け、効率的な『送客』でリスクヘッジ。『床屋』『パートサロン』『大型サロン』等多様な業態を展開するグループが見る展望。

『床屋』を『美容室』へ変えるには?時代の変化とともに経営者も変わることが必要

理容専門学校を卒業後、1987年25歳で理容室『ヘアーズビギン』を開業し独立。その後も精力的にサロンを出店するも閉店という苦渋の選択も経験。開業から数年は試行錯誤の繰り返しだった。
時代の流れとともに理容室は減少の一途を辿るなか、今後も多店舗展開をするためには主流となった美容室への業態変更が必須であったが、“美容室”としての経営学や接客応対などを学べる場所がなく、また経営者としての視点を養える機会をずっと探していた。
「最初は8坪ほどの理容店からのスタートでした。技術者として腕を磨くためにストイックに頑張ってきましたが、理容師が少なくなった世の中を考慮し、経営者として変わるべきときが来たと感じたんです」

厳しいフィードバックにこそ『成長』の伸びしろがある

理容師として日頃から様々な技術講習に足を運んでいたが、とある新しいシェービングの技術講習を受けに出向いたところ、同じ意識を持つ経営者と知り合ったことがきっかけとなりSPCの会議に参加した。
「技術講習を受けられる場所はこれまでたくさんありましたが、経営の勉強もできると知って参加の意欲が湧きました。早く“技術者”から“経営者”へと転換を図りたかったので何度か会議に参加してから入会を決めました」
入会してまず考えたのは、当時1店舗のみの運営だったサロンをもう1店舗増やすことだった。他店舗展開の目標のために“とにかく挑戦しよう”という強い意欲で1年後には18坪セット6面の美容室を出店。
ところが、集客も求人も思うようにいかずスタッフは言うことを聞かない…挙句、先輩経営者から「このチラシでは人は来ないよ」と集客への厳しい指摘も。
「はじめは厳しめのフィードバックもかなりもらいました。でも、改善すべき点さえわかればそこを伸ばせますし、足りないところほど勉強すれば先輩経営者と同じ視点が養えると考え、がむしゃらに頑張りました」
前途多難な道のりのなか、それでも走り続けることができたのは、一方で「困ったことはない?」とつねに気遣いをくれ、自店まで出向き直接アドバイスをくれる先輩経営者たちのあたたかな恩義があったからだと語る。
「ここまでしてくれるんだと驚きました。親身なアドバイスのおかげで、私はこれまでの苦悩から息を吹き返すことができました」

『教える側』と『教えられる側』、切磋琢磨し合い、つねに変化を生み出せることがメリット

経営者交流は、全国の多様なサロンから刺激を受けながら、つねに自身も変わり続けることができる点がメリットだ。
「ずっと同じ地域のなかだけで交流をすると新しい変化を感じにくくなりますが、全国のサロン経営者と知り合うことで、美容業界のスケールと深さを改めて感じます。事業規模の大きさはもとより、“こんな人になりたい”と思わせるカリスマ性”を持ったたくさんの先輩経営者に刺激を受け続けています。そういう環境に身を置くとバイタリティが湧いてもっと大きな展望が見えてきますね。自分はまだまだだなと」
そう語る長島代表にとって、15代目高橋理事が語った言葉が特に印象に残っているという。
「“3人の師匠を持ちなさい”とよく言われていたんです。原理原則を教えてくれる師匠、苦言を呈してくれる師匠、生き方を真似したいと思える師匠。私はそれぞれ当てはまる先輩がいます。ノウハウやアイデアは勝手に降ってくるものではなく、関わり合った人同志で切磋琢磨し合ってつねに新しいものを生み出していけるものだと考えていますので、この環境にいることで挑戦できた変化は無数にあります」
先輩と後輩、教える側と教えられる側、どちらも影響を与え合うからこそ、時代に即したサービスを発信し提供し続けることを可能にしている。

『育成サロン』から『パートサロン』に切り替えたことがターニングポイント

サロンにとって新人の育成は大きな課題であるが、(有)ベルファミリーの鈴木代表との出会いで、当サロンは大きな転換点を迎えた。いわゆる“育成型”の方針からほとんどのスタッフにパートを雇用する形態へと切り替えたのだ。
「社内の育成システムが確立しておらず、ずっとスタッフの定着率が不安定でした。多店舗展開をするうえでこれは大変な課題になると危惧していましたが、この方針転換で一気に流れが変わり会社は軌道に乗り始めました。貴重な資料ファイルをいただいた岸上代表をはじめ先輩経営者には多大なお力添えをいただきました」
パートサロンへの方針転換で活路を見出した後は、次のステップとして30坪の大型サロンを展開し中途採用スタッフをメインに置きながら新卒の育成も始めている。
「大型サロンを運営するにはパートさんだけで回すのは難しいですが、社員は必ず新卒である必要もないので、当店では中途採用を主にしています。元教育者や元店長のような方が多々いますので、即戦力になる方に教育係をお願いすることで“育成の仕組み”をつくっています」
現在は26名が社員で17名がパートの比率。だが、育成システムを確立したことで定着率は格段に上がった。

7店舗すべて異なる専門性を設けることで『送客』とリスクヘッジが可能に

『A-sam Group』では、現在7店舗のサロンを運営。カラー専門店やバーバー、髪質改善に美まつげサロンなどそれぞれに異なるコンセプトと専門性を設けることでリスクヘッジを図っている。
「7店舗すべてコンセプトを変えることで効率的な“送客”が可能です。全店の来客数のバランスを考えて、“カラーだけでいい”と言うお客様にはカラー専門店『グレッション高坂』を紹介したり、まつエクに興味があるお客様には『ルシードスタイルビギン アイラッシュ』へ誘導したり、自店のなかで送客し合って回していける仕組みを構築しています」
今後も、美容に関する新しいメニューや専門性のあるサロンを精力的に開発し、お客様のトータルビューティーをグループ内でカバーできることをビジョンとして日々進化を遂げている。

 

スタッフと夢を共有しグループ全体の好循環を生み出す

7店舗のサロンそれぞれに異なる専門性を設け運営しているのは、スタッフの個性を配慮した働きやすい環境づくりにも力を入れているためだという。
「雇用スタッフには中途採用が多いのですが、前の会社では見えなかったという将来を具体的に示し、希望年収を得るにはこれをこのように頑張ろう、などスタッフの夢を具体的に共有するようにしています。そういうなかで、色々なジャンルのお店があった方がスタッフ自身が多様な道を選ぶことができ、自主性を育てることにも役立ちます。そこからフランチャイズ出店など希望があれば支援しながら、スタッフのライフステージや希望に合わせて、より長く安定的に働けるような環境づくりを心がけています」
集客面だけでなく、スタッフの育成と成長においてもグループ全体で好循環を生み出している。

INTERVIEW DATA

会社名
A-sam Group
代表
長島 正男
創業
2001年4月
店舗数
7店舗
スタッフ数
43名(うちパート17名)
本社所在地
〒355-0221 埼玉県比企群嵐山町菅谷662-1
取材店舗名
LUCIDO STYLE BEGIN
店舗所在地
〒355-0221 埼玉県比企群嵐山町菅谷662-1
URL
https://a-sam.com