株式会社BLESSING 代表取締役

徳田 勝義katsuyoshi Tokuda

1981年6月18日、埼玉県生まれ。リビングに勤務後、2007年に独立しヘアサロン『BLESSING』を開業。
2015年に屋号を『ku-to』に変更。現在ヘアサロン4店舗、アイラッシュサロン1店舗を運営。地域1番のファミリーサロンをコンセプトに30店舗の出店を目指している。

 

『技術』と『接客』教育の棲み分けで複数店舗を効率的に回転。『失敗しないサロンづくり』の極意とは

目指せ『30店舗』出店!知りたいのは『多店舗展開のノウハウ』

リビングに勤務後、2007年に独立しヘアサロン『BLESSING』を開業。その後サロン名を『ku-to(クート)』に改め、現在は埼玉県内に5店舗を構える。
開業当初から目標に掲げるのは“サロン30店舗の出店”だが、自社に適したビジネスモデル構築のための具体的な戦略を模索するには情報が足りないと感じていた。知りたいのは“多店舗展開のノウハウ”。
「開業するからには、30店舗は出店したいと最初から決めていました。ただ具体的に何から手をつければ良いのかと考えあぐねる日々でした」

便利なシステムはうまく活用しながら、自社ビジネスモデルを構築

そんな試行錯誤の日々のなか、SPCの先輩経営者がサロンを訪れたことで状況は変わった。
「多店舗展開について勉強中のちょうど良いタイミングだったので“経営戦略”や“集客の増やし方”などの話をまず聞いて、1度会議に出席してみようかなという気持ちになりました」
そうして入会後、“30店舗を出店すること”が目標であることを先輩経営者に伝えると「まず大事なことは“スタッフの確保”、それが成功したら次に“集客”だよ」と他店の前例を交えながら目的に合わせて具体的なアドバイスをもらった。
スタッフが増えれば生産性は上がり、集客が成功すればさらにスタッフの経験値が向上、サロンのクオリティアップを図ることができる。
本来、難しいとされる新人の育成には『ワールドアカデミー』※1をうまく活用し、教育を外部のプロに任せることで自社の負担を軽減。その分“経営”に注力できるという土台をつくり上げた。
「ようやくサロンが軌道に乗り始め、現在は5店舗を展開中です。自社ならではのビジネスモデルも確立してきましたので、向こう10年間で30店舗出店できるという見通しが充分につきましたね」

※1『ワールドアカデミー』とは、1年でカット技能が習得できる学校のこと。

『経営者交流』は知識の精度を上げ、遊びにも行けるフランクな場所

毎週会議に参加して変わったことは、自分の知識や考え方の精度が徐々に上がっていることだという。
「求人の応募が多すぎる場合どうすればいいか、ブログ・ネット発信・口コミ・紹介などの集客方法をすべて実践するとどれくらい数字に反映されるのか…はじめはわからないことも、教えてもらったノウハウを実践しながら意見交換をするうち情報に無駄がなくなるため、より有益な知識に磨かれていきます。そして気がつけば、今度は自分が教える側に立っていて、ダイレクトに自身の成長も実感できます。“経営者交流”とは、互いの知識の精度を上げるための貴重な場所であると思っています」

たとえば、“同じ趣味を持ったゴルフ会員のようなイメージ。情報交換もできて経営者同士で勉強もできるような仲間がつくれるコミュニティはなかなかない”と話す。
「“25,000円を払って友達を作りに行く場所だよ”と先輩経営者から言われましたが、たしかに会員制クラブとして考えれば納得です。損得感情よりもまずは同じ悩みを共有できてフランクに付き合える仲間がいるということ、友人が増えたというところが自分には金額以上の価値を感じます」
経営者である自分自身を客観的な視点から叱ってくれる友人や先輩はある種“ファミリー”のような貴重な存在であると語った。

『求人』『集客』『教育』3大要素の循環を促進させたことがターニングポイント

複数店舗を経営していくには「求人」「集客」「教育」の3つをうまく循環させ続けることが肝であると学んだときターニングポイントが訪れた。
「これまで勤めていたサロンでは“自分で売上を立てること”が大切だと教えられてきましたが、経営者交流では“自分はマネージメントに回り、スタッフに売上をつくらせること”が重要だと言われ、経営者は真逆の視点を持つことに気が付きました」
それから、求人ではスタッフを多めに雇用。次に“技術面”の教育を外部に委託することで、ベテランスタッフの新人教育にかかる労力を軽減。その結果、複数店舗を効率的に回転させ集客力がアップした。
“人”がいなければ組織は拡大しない。複雑なことを考えるより「求人」「集客」「教育」この3大要素を絶えず循環させることが“30店舗出店目標”を実現する要だ。

『技術』と『接客』教育の棲み分けで効率化

ヘアサロン『ku-to(クート)』は、お子様から大人世代まで幅広く愛される地域密着型ファミリーサロン。平均単価が8,500円とファミリーサロンとしてはやや高めに設定。その理由は、カットに1時間あまりを要してしまう経験の浅いスタイリストの生産性を上げるためだ。スピーディーに数をこなせないのであれば、逆にしっかり時間をかけ丁寧な施術をすることで客単価を上げるという方針に切り替えた。
新人の技術教育はSPC加盟で参加可能な「ワールドアカデミー」を利用。専用のウィッグなどを使用した実践的なカット技能が1年で習得できるため新卒採用から早期スタイリストデビューが可能に。
「『ku-to』では1年でカットデビューさせ、他の技術は順番に習得していく方法をとっています。この点が他社と違う“教育方針”です。技術面を外部に委託している分、当社ではコミュニケーション能力や接客応対における心遣いなどの教育に力を入れています」
客の施術メニューの割合から見ても、20%程度のカラーやパーマより100%であるカットの技術を先に習得することがもっとも効率の良い育成順序であるという。
「“この先輩に教えてもらいたい”などの価値観はもはや古いように感じます。小規模サロンでしっかりとした教育体制を維持するのはこれから先難しい時代になると考え、“技術面”と“接客面”で教育の棲み分けをすることで効率化を図っています」
自社でやることと外部に委託することを明確に分けたことが様々な相乗効果を生みスタッフの自主性を引き出している。

また、独自の役職として“店長”の次に“ネクストリーダー”というポストを設けている。代表が店長を、店長がネクストリーダーを育成するといった分担が成され、店長教育においては、“会社・社長・美容”の3つについてきちんと矜持を伝えることを徹底している。

若いスタッフの自主性を尊重し、想定の倍近い売上を記録

注目したいのは、2021年3月にオープンしたアイラッシュサロン『en_by ku-to』だ。厳しいコロナ禍において、初月から目標の売上を超え、5月には想定の倍近い売上を叩き出した。
かねてより構想していたアイラッシュサロンを開店するにあたり、自社でスタッフを募ったところ、志望者が集まり自主的に役割を分担。知らない間にデビュー1年目のアイリストが店長に就任していたという。
「責任を与えた方が成長することを経験上知っていたので、代表である僕はあえて関わりませんでした。“一緒に頑張ろう”という気持ちは共有しますが、実際は若いスタッフの自主性に任せています。それがある意味『ku-to』独自の文化でもありますね。店長をはじめスタッフが自ら考え行動することが今後の多店舗展開において最重要であると考えています」

小規模パッケージの失敗しない『ビジネスモデル』

理想とするのは17坪から20坪でスタッフは4〜5人、売上は300万円程度のパッケージでスモールビジネスをスピーディーに展開すること。それが『ku-to』の描くビジネスモデルだ。あくまでも店長が管理しやすい規模で突出した売上のスタッフはつくらずアベレージを高く持つことが重要なのだ。
「僕は他店を参考に新しいアイデを取り入れることが得意なんです。成功しているモデルを参考にすれば低リスクで挑戦ができるし、自社のオリジナリティはそれから色付けても遅くはない。その点でいえば、“経営者交流”はビジネスモデルの宝庫。新店をオープンするたびに「チラシはこう配布した方が効果があるよ」「3店舗目の出店は人に任せてこの人数でやった方がいいよ」という具合に、状況に応じて成功例を教えてもらえたので、素直にそれを実践するとまず失敗が少なくなります。そして4店舗目の出店のために意見を伺うと、“もう自分でできるはずだよ”と言われました(笑)」
スタッフの自主性を見守りながら自由に育む“教育方針”。それを中心に据えて培ってきたこのビジネルモデルは成功のビジョンしか映さないことを確信している。

INTERVIEW DATA

会社名
株式会社BLESSING
代表
徳田 勝義
創業
2007年3月3日
店舗数
5店舗
スタッフ数
33名
本社所在地
千葉市稲毛区弥生町2-21
取材店舗名
Ku-to+
店舗所在地
埼玉県さいたま市南区南本町2-3-8志賀パレス405
URL
https://ku-to-minamiurawa.com